1. サンゴって何? サンゴは生き物です。動物です。石みたいに見えるけど生き物なんです。皆さんが、「サンゴ」と言ってイメージしている物は、正確にはサンゴの生きている本体ではありません。例えると、「ハチの巣」、皆の住んでいる「家」や「アパート」にあたるものを一般的に「サンゴ」と言っています。「サンゴの家」に住んでいる生き物が正確な意味での「サンゴ」です。 2. サンゴって、どうやって暮らしているの? |
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撮影範囲は、縦1m、横1.5mです。 |
左の写真のA,B,C,D,Eは、みんなそれぞれサンゴです。正確には、それぞれサンゴの集合体、 「群体」です。 Aの名前は、サンカクミドリイシ (テーブル状の群体) Bの名前は、ノウサンゴ (球状の群体) Cの名前は僕には判りません。 Dの名前は、ヘラジカハナヤサイサンゴ Eの名前は、ノリコモンサンゴ (カーペット状の群体)です。 |
撮影範囲は、縦3cm、横3cmです。 |
左の写真は生まれて一年目の若いサンゴの拡大写真です。写真の赤い点線で囲んだ部分がそれです。まだ縦横1.5cmしかない小さな家(群体)です。でも、もう50匹近いサンゴが住んでますよ。 例えば丸をした一つ一つが、一匹のサンゴです。 では、Aを例にとってみましょう。 |
2.
サンゴが生きていくのに大切なものって何? それはずばり、「褐虫藻」(かっちゅうそう)です。これだけでは何のことか判りませんよね・・・ |
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もし、その「褐虫藻」がいなくなったら、サンゴはどうなるの? 答えは一つ、死にます。でも、すぐ死んでしまうわけではありません。人間も、野菜を食べなかったからといって、すぐには死にませんよね。サンゴも「褐虫藻」がいなくなっても二週間ぐらいは何とか頑張って生きれます。 |
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4. 「褐虫藻」がいなくなった死にかけのサンゴは、見分けられますか? 簡単に見分けられます。褐虫藻がいなくなったサンゴは色がなくなり、真っ白になります。 |
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以上がサンゴの基礎知識です。サンゴってどんな生き物か、頭の中にイメージが浮かべられるようになりましたか?
ここからは、サンゴの様々な生態について更に一歩踏み込んだお話をしましょう。 時間のある方、もっと詳しく知りたい方は、どうぞ引き続き読み進んでください。 |
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5. サンゴにとって " 敵 " はどんなものがありますか? | |
・ サンゴを食べるヒトデ − オニヒトデ |
オニヒトデは最近、しばしば大量発生し、サンゴを食い尽くしていきます。オニヒトデに食べられたサンゴはボロボロになり、無残な姿に変わり果ててしまいます。 左の写真は、白化現象でサンゴ礁が壊滅的打撃を受けたあと、生き残ったわずかなサンゴを狙って、とどめをさすかのようにオニヒトデが群がってサンゴを食べている悲劇的なシーンです。 1999年9月、沖縄本島の残波岬でのことです。 この写真を撮ったあと、急いでオニヒトデをどけたら、サンゴはまだ生きていました
! 頑張れサンゴ ! |
・ サンゴを食べる魚 − ヤリカタギ |
チョウチョウウオのこの仲間もサンゴのポリプをついばんでは食べます。でも、その量は微々たるもので、サンゴ礁全体には大きな影響を与えません。 |
・ サンゴを食べる魚 − ブダイや ----------------------ゴマモンガラ等 |
ブダイは沖縄では「イラブチャー」といって食用魚です。 この魚は、左の写真にあるように、丈夫そうな歯でサンゴを家ごとガツガツと食べます。 食べられたサンゴにとっては、たまったものじゃないですが、サンゴ礁全体から見ると、一概に悪者扱いは出来ません。 ガツガツと食べたあとの食べ残しは細かい砂となってサンゴ礁に積もります。それは長い年月かかって、砂浜の砂となったり、海の中の砂となり、砂地に住む生き物達に生きる場所となります。 |
・ そして最大の敵 − 人類 | 非常に残念なことですが、環境を破壊し、海を埋め立てる私達人類ほどサンゴにとって最悪の敵は他にいません。 |
5. サンゴにとって " 味方 " はどんなものがありますか? | |
・ サンゴを守るカニ −アカホシサンゴガニ | このカニはサンゴの枝の中で暮らしています。でも家賃分の仕事はきちんとしています。 サンゴを食べるオニヒトデなどがやって来ると、武器のはさみでオニヒトデと戦います。移動できないサンゴにとって、カニは頼もしい味方です。 左の写真も、写真を撮っている僕を敵とみなし、ハサミを振りかざして僕を威嚇して追っ払おうとしています。 アカホシサンゴガニ、頑張ってね!! |
・ 今、このページを読んでいるあなた | 環境保護の大切さを理解し、学ぼうとしている他ならぬあなた達はきっと、サンゴにとって、将来何にもまさる大きな味方となるでしょう。 皆さん一人一人、サンゴのために自分が何を出来るか考えてみてください。そして実行して下さい。それは同じ地球に住む仲間として、学校のテストよりも何よりも大切な事なのです。 |
5. サンゴの産卵ってどんなのですか? | |
サンゴは動物なので、産卵します。左の写真がサンゴの産卵風景です。ここではミドリイシの仲間の産卵を例にとって簡単に説明しましょう。 左の写真、オレンジ色の丸い物がいっぱい見えますね。でも、この一つ一つは一つの卵ではありません。この一つの物体の中には20個ほどの卵が入っています。つまり、卵の入ったカプセルです。 サンゴはこのカプセルを産み落とします。 産み落とされたあと、カプセル達はゆっくりと水面に浮上して、そこで割れて中から卵がいっぱい出てきます。 そして海面は一面、赤く染まります。 |
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6. サンゴもウンコはするの? | |
しま〜す。サンゴも動物です。食べてばかりじゃありません。左の写真が、サンゴの「ウンコ」です。 サンゴは、人間のように食べる所、排泄する所、子供を産む所は分かれていません。全部一つの場所で済ませます。 先ほど褐虫藻の話をしましたが、もし、あなたが家の中で野菜を育てていたとして、野菜の収穫が終わったとします。すると、プランターには根っこや茎や要らないものが残りますね。再利用出来ればいいんですが、どうしてもゴミが出ます。 サンゴも一緒です。家の中に溜まったゴミは、定期的にまとめて捨てる必要があります。 サンゴの場合、多くは褐虫藻の老廃物です。これをペレット状に丸く固めて家の外に放出します。 これがサンゴのウンコです。 |
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7. 違う種類のサンゴは仲がいいんですか? | |
一面に広がる美しいサンゴ礁。一見平和でのどかに見えるサンゴの楽園も、よ〜く見てみると、そこでは静かな、しかし生死をかけた生存競争が繰り広げられています。 左の写真を見てください。薄黄色で木の枝っぽく上に伸びいてるのは「ヤツデアナサンゴモドキ」というサンゴ、こげ茶色でペラペラして見えるのが「リュウキュウキッカサンゴ」というサンゴです。 リュウキュウキッカサンゴはヤツデアナサンゴモドキをギョウザの皮のように包み込んでしまおうとしています。 一方、ヤツデアナサンゴモドキは包みこまれまいとして、上へ上へ頑張って伸びています。この戦いは一日二日で勝負のつくものではありません。この先何年もかかって、じわじわと進んでゆく戦いです。 |
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左の写真はサンゴ、A、B、C、D間で繰り広げられている厳しい陣取り合戦の様子です。 Aは本当は綺麗な円形状のテーブルサンゴになりたかったはずです。でも左側にはBがいて成長出来ません。また、右上にはDがいてこれまた成長出来ません。Bにしたって一緒です。右や左に成長したいのにAやCがいて邪魔しています。 しかし、A、B、Cのサンゴ間には矢印で示したような隙間が開いてますね。これはお互いが遠慮しているわけではありません。実は、夜間、この隙間の間で激しい戦いが繰り広げられ、お互いにこれ以上成長出来ないでいるのです。 これは戦争と似ています。A国とB国の国境付近で毎晩戦争が続いていると、お互いに国境付近には、すぐ攻撃にあってしまうので、家なんか建てられませんよね。サンゴも一緒です。お互いにこれ以上接近すると攻撃が激しく、成長出来ないでいるのです。 |
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8. サンゴはどうやって自分の身を守るんですか? | |
左の写真はサンゴが天敵のオニヒトデと戦っているところです。 えっ? どうやって? この写真のどこが戦っているの? と、思うでしょう!! それではサンゴの戦法をご説明しましょう。 下の図と、拡大写真を見てください。 |
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左上の写真を、よ〜く見てください。何だか食べ物の「はるさめ」のような半透明のニョロニョロしたものが何本も見えますね。それがサンゴの戦う為の武器、「スイーパー触手」です。 左の図にわかり易いようにスイーパー触手の部分を抜き出して描いてみました。 この長くてニョロニョロしたスイーパー触手を振り回して相手にぶつけて追い払います。 |
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では、左の拡大図で普通のエサ捕り用の「触手」と、攻撃用の「スイーパー触手」の違いを見てみましょう。 大きさがずいぶん違いますね。スイーパー触手はすごく大きくて長いですね。 |
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注 :
本コーナーの解説には一部簡略化して説明している部分があり、例えば「莢」と「ポリプ」を区別していないなど、厳密には精確ではない記述を含んでおりますが、本コーナーの性格上、ご容赦下さい。尚、それでもやはり変更したほうがよい部分、お気付きの点がございましたら、ご遠慮なくメールにてご連絡ください。また、本コーナーに有用な生態写真等をお持ちの方がございましたら、是非ご連絡ください。 更に詳しい解説をご希望の方は、「フィールド図鑑 造礁サンゴ」東海大学出版会 西平守孝 著 本体定価2500円 |